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                  女子マネージャー ときめきダイアリー 1999

〈報知・高校野球から〉

                              時習館 2年 伊藤このみ
                             (時習52回卒・平成12年3月卒)

  初めてのベンチ入りで緊張しました…

 はじめまして!
 今回から1年間、このコーナーを担当することになりました、伊藤このみです。
 時習館高校野球部は、私たち52回生の代で、ちょうど創部100年。部員28人。マネ9人。その伝統の重さにも負けず、広いグラウンドでのびのびと、みんな一つの夢に向かって、一生懸命頑張っています。

  新チーム発足!

  平成10年7月23日(木)

 第80回(平成10年・1998年)全国高校野球東愛知大会、4回戦。3年生にとって、これが最後の大会。優勝候補の大府に1ー10で7回コールドで負けちゃった…。大差で負けたんだけど、でもすっごく悔しくて、こらえても止まらないくらい、いっぱい涙がでてきた。試合後のミーティング。涙がとまらないでいるみんなに、「試合、お疲れさまでした」って、笑顔でいった恭子さん。自分だって、本当はすごく悔しくて泣きたくなっちゃうはずなのに、最後は精一杯頑張った部員さんを、笑顔でちゃんと迎えてあげたい、って…。恭子さん、すごくかっこよかった?
 1年半、一緒に頑張ってきたが、3年生の存在はやっぱり大きい。辛いことも、楽しいことも、いろんなことが思い出される。もっともっと長く部活したかった…。「部員と仲良くやれよ。マネだって野球部員なんだから」「このメンバー(1、2年)だったら、絶対甲子園行ける」「このみと久美子で他のマネをしっかり引っ張って行きなさいよ」3年生が最後にかけてくれた言葉です。 よーっし…!頑張るぞ!

  時習館0000100−1
  大  府005401X−10
  (七回コールドゲーム)

  平成10年7月25日(土)

 今日から1、2年生だけの新チームがスタート。新主将はこば(小林佳照)君。3年生の主将、林泰盛さんに比べて、特別大きな存在感はないけど、個性の強いこのチームを引っ張っていけるのは、やっぱりこば君しかいない。
 燃えそうな暑さの中で頑張ってるみんな。3年生がいなくなったグラウンドは、やっぱり何かさみしさが残るけど、その分2年生が大きく見える。泣いても笑っても、みんなと野球ができるのはあと1年。部活、部活でまた真っ黒にやけちゃうだろうけど、今年もいい夏になりそう?

  市内大会・四中戦

  平成10年8月5日(水)〜6日(木)

 新チームになって、初めての公式戦。ドキドキとワクワクで今までとは違った新鮮な気持ち。市内大会は参加校8校の小っちゃな大会。だけどこれからへ向けての大事な大会。みんな頑張って!
 1回戦は豊橋商。時習館は中田君の2本の三塁打を含めた計12安打で8ー4。やったー!公式戦初勝利。

  平成10年8月6日(木)

 2回戦の相手は、3月まで時習館の監督だった近藤至彦先生がいる豊橋工。そして今日は、私が初めてスコアラーとしてベンチに入る日。いつも以上に緊張する。
 ベンチの中はスタンドから応援するのとは雰囲気が全然違ってみんなの気迫や声がすごかった。スコアを書くことしかできなかったけど、みんなと一体になって戦った気がして、すごく気持ちいい。相手チームの監督が1年間一緒に野球をやってきた近藤先生とあって、言葉(やじ)のやりとりも、なんか懐かしくて、うれしかった。試合は、というと、4ー0で時習館の勝利!
 決勝戦の相手はこの大会連覇を狙う豊橋東。絶対勝って優勝しよう! 時習館は2回3本の安打と四球で先制。守っては、先発、公式戦初登板の1年生、まっきい(牧原君)が大・大・大好投で、相手打線を3安打に抑えての完封勝利。やったぁ、優勝だぁ!この優勝は、いろんな面でみんなに自信をつけたと思う。私も、初めてのベンチ入りで、試合のおもしろさを改めて感じた。

  時習館032000001−6
  豊橋東000000000−0
   (時)牧原ー鮫島
   (東)藤井ー森

  平成10年8月11日(火)

 旧制中学時代からの旭丘、一宮、岡崎、時習館の4校で行われる四中戦。1回戦の相手は、県下一の進学校、旭丘。試合は4ー3で旭丘の勝利。勝てない相手じゃなかったんだけど、ランナーを得点圏に出した後の、あと1本が出ず、時習館の弱さが出ちゃった試合だった。
 悔しいけれど、でも次に向けての課題ができたよね。この負けは、無駄じゃない。

  マネ9人だ!

 2年生5人、1年生4人。時習館野球部には、女子マネージャがなんと9人もいる。確かにちょっと多すぎるかもしれないけど、みんな野球が大好きで、泥だらけになって練習している部員さんが大好き。見ているだけじゃなくて、私たちも野球をやりたい!ってことで、野球部マネージャーチーム結成。部活が早く終わった日に、とりあえずソフトボールで練習開始。練習してみたものの、野球の世界はそう甘くはない。キャッチボールボールでさえ、ままならない状態…。中学時代ソフト部だった私も、もう体がついていかない。ほとんど経験のない私たちマネが、いきなり野球をやろうなんて、無理な話だけど、部員さんがノックを打ってくれたりと、やっぱり野球はたのしい。

  東三河大会

  平成10年8月15日(土)〜20日(木)

 春のセンバツ出場につながる、秋季東三河リーグ戦。いよいよ始まっちゃった。決勝トーナメント進出をかけての1次リーグ、対新城戦6ー4。対成章戦2ー7で負け。対豊川工戦17ー0。対福江戦12ー1。対豊橋南10ー0。打撃も守備も、みんな好調、四勝一敗で決勝トーナメント進出だ!

  平成10年8月23日(金)

 1次リーグを勝ち上がってきた8校が戦う決勝トーナメント。県大会へ出場できるのは、上位4校だけ。絶対負けられない!
 1回戦の相手は豊橋東。市内大会の決勝でも戦ったチーム。時習館は4回、打者一巡、6安打の猛攻で一気に5点。5回にも4点を追加し、今日は、いつにもまして、エラーヤパスボールがすごく多い。9ー7で勝ったけど、課題がたくさん残る試合だった。
 準決勝も蒲郡東に8ー4で勝ち。この時点で県大会出場は決定。

  平成10年8月26日(水)

 決勝戦。対戦相手は豊橋商。初回第一打席で権田敦英君がレフト方向への大きなソロホームラン!なんか、すごい試合になりそう…。3回にも2点を加えて、試合は時習館のペース…だったんだけど、6回、一気に逆転され3点を追う側に…。大丈夫!絶対勝てる!
 みんな最後まであきらめずに頑張った。結局試合は6ー3のままゲームセット。悔しいけど、みんなで頑張って勝ち取った東三河準優勝っていう、この成績は、すごく大きな意味をもったものだと思う。新たな気持ちで県大会、頑張っていこう!

  時習館102000000−3
  豊橋商00110400X−6

  県大会

  平成10年9月13日(日)

 県大会1回戦の対戦校は名市工芸。電車で2時間以上もかかる半田球場での第一試合。だから朝がすごく早い。朝の苦手な私にとってはとても辛い…。みんな大丈夫カナァ?
 今回の大会から、スコアラーとして、将司君がベンチに入ります。ベンチに入って私もスコアーを書きたい!っていうのが本音だけど、私たちマネよりずっと野球のコトわかると思うし、重要な戦力になると思う。
 さぁ、試合開始。時習館は何度もチャンスを作るのに、どうしてもあと1本が出ずになかなか点が入らない。逆に相手は、少ないチャンスを確実に生かして得点してくる。結局それが勝敗につながって、2ー3で負けました。時習館8本、名市工芸3本と、ヒットの数では断然勝ってたのに…。野球って何が起こるか分からないスポーツだっていうことを痛感した。
 負けちゃったのに、どうしても負けた気がしなかった。春の甲子園出場への夢がここで破れた。そう思うとすごく悔しくて…。選手のみんなは、もっと悔しい思いをしていると思う。でもその悔しさが、来年の夏へ、きっとつながる…。

  時習館  100000010−2
  名市工芸00030000X−3
   (時)中田雄太、本田、加藤真彦ー鮫島大輔
   (名)大河内ー鈴木

  掛布さんが来た!

  平成10年9月14日(月)

 今日は時習館の記念すべき第50回の文化祭。ということで、なんと元タイガースの掛布雅之さんが講演をしに時習館へきてくれたんです!
 テレビと同じ、あの声、あの顔だった…。感激。高校時代やプロ野球時代の話をしてくれたり、掛布さんに直接質問するコーナーがあったり、私にとっても、みんにとっても、すごく貴重な体験ができたと思う。
 掛布さんから学校側にいただいたサインボールと色紙には『いつもあこがれ』という言葉が書かれています。プロ野球選手はみんなのあこがれ。高校野球という舞台も私にとっても昔からのあこがれだった。今、こうして野球部のマネでいられることは、ほんとうにうれしい。

  全三河大会

  平成10年10月31日(土)

 西三河、東三河、それぞれ8校、計16の代表校で争われる、第99回中日旗争奪全三河高校野球選手権大会。今年最後の公式戦となる全三河大会がいよいよ始まった。今日は本当は平常通り学校がある日。2年生マネは、球場での補助員の仕事もあるということで、学校は公欠して応援にくることができたけど、1年生マネは、学校でお留守番。その分いっぱい応援して、絶対勝たなきゃ! 1回戦の相手は安城南。時習は初回、権田君のホームランを含めた6本のヒットで一気に8得点。3回にも3点を追加して試合は完全に時習のペース。打って打って打ちまくり、守っては中田雄太君の大好投で11対0の5回コールド完封勝利!みんなすごい!めちゃめちゃ強い。この勢いで優勝しちゃおう!

  時習館80300−11   中田雄太ー鮫島大輔
  安城南00000−0   上野、岡田ー小西
  (五回コールド)  (本塁打)権田敦英(時)

  平成10年11月3日(火)

 全三河大会、2回戦の相手は成章高校。初回、死球と三塁打で成章が2点を先制。3回にもスクイズで1点加点され、時習は3点を追う側に。そして6回、二塁打で出塁した権田君を内野安打と敵失で返し、待望の1点。さらに8回にも1点を加えて2ー3。1点差で迎えた最終回は、スタンドの私たちもメガホンを手に大応援。結局2ー3のままでゲームセット。負けちゃったけど、でもすごくいい試合だった。特に、成章打線から12奪三振、被安打4の中田雄太君の大好投。マネの私でもそのすごさが目に見えて分かるくらいの今までで最高のピッチングだった。
 冬の厳しい練習に向けての課題も、夏に向けての手応えも、しっかりつかめた試合だったと思う。

  時習館000001010−2   中田雄太ー鮫島大輔
  成  章20100000X−3   居城ー彦坂

  卒業式

  平成11年3月1日(月)

 今日は卒業式。これで3年生とも本当にお別れかぁ…。出会いがあれば別れもある。春は切なくさみしい季節。 式が終わった後、野球部でも、小さな卒業式のような会を開く。3年間、汗を流し練習したこのグラウンドで、最後のもう一度バッターボックスに立って思いっきりバットを振ってもらおうって…。1、2年生が守備、3年生がバッターという形でみんな和気あいあいと…。半年以上のブランクにもかかわらず変わっていない3年生のかっこいい姿に、心温まるって感じ。
 バッティングの後は、先生のお話やプレゼント贈呈ありのお別れ会。頑張って作った文集と、1、2年生みんなで書いた寄せ書き、花束、3年生みんな、喜んでもらってくれました。
 時習館、そして野球部を卒業される3年生。一緒に部活をやれてよかった。いつでも目標の尊敬する先輩でした。卒業しても時習館野球部のことずっと応援してください。
 3年生のみなさん、卒業おめでとうございます!

  東三河大会

  平成11年3月25日(木)〜4月1日(木)

 いよいよ春の大会が始まった。緊張するっていうよりも、試合が始まることがすごく楽しみ、秋のこの大会では惜しくも準優勝。今回はその雪辱を晴らすためにも絶対に優勝したい!県大会への出場もこの大会にかかっているからみんなの気合いもハンパじゃない。
 1次リーグ初戦の相手は新城高校。試合は終始時習館のペース。冬の間に急成長したピッチャー豊章君の大活躍と、下田真史君の初ホームランetc…で、7ー0のコールド勝ち。
 2戦目の相手は豊川高校。1次リーグ最大の山場となるこの試合。相手のやじがすごくって、スタンドで応援してた私たちマネも熱くなつちゃうような、そんな試合だった。結果は5ー2、時習館の勝利。続く福江戦は9ー3、豊川工業戦は9ー0。毎試合ホームランが出るような快進撃、みんな試合ごとに勢いを増していくような感じで、1次リーグを4戦全勝、無傷で突破!

  平成11年4月2日(金)〜4月4日(日)

 1次リーグを勝ち抜いてきた上位8校が、県大会の切符をかけて戦う2次トーナメント。どのチームも簡単に勝てるような相手じゃないけど、一戦一戦大事に行こう。 1回戦の相手は昨秋の優勝校の豊橋商。今年卒業した先輩マネの山本恭子さんと堀口奈美さんも応援にきてくれた。
 試合は4回、2本のヒットで先制された後、それまではノーヒットに抑えられていた打線もようやく反撃開始。これまでの課題だった、好機できっちり得点するっていう、打線のつながりも出て、8ー3の5点差で迎えた9回裏。ここにきて、2アウト後の痛い連続エラーで2点返され3点差。試合は8ー5のままゲームセットで勝ったけど、次からはこういうミスは絶対にしないように、また新たな課題ができたと思う。
 球場での補助員仕事を一緒によくやる商業のマネージャーさんとは、とっても仲良し。今日の試合後も、「商業に勝ったんだから絶対優勝しなきゃ駄目だよ!」って応援してくれた。商業のためにも、自分たちのためにも、絶対勝って優勝しよう!

  時習館000021131−8
  豊橋商000100112−5

 準決勝の対戦相手は蒲郡東。試合は7回まで2ー2の同点。そして8回、フォアボールとヒットで勝ち越され2ー4で負けちゃった。すごい悔しいけど、県大会へのチャンスはまだある。気持ちを切り替えて、次頑張ろう。

  蒲郡東000020020−4
  時習館000200000−2

 県大会出場へのラストチャンス、3、4位決定戦の相手は桜丘。試合は1回、4番まっち(加藤真彦)君の大きなホームランで2点を先制。その後も着実に点を重ねて9ー1の8回コールド、時習館の勝ち!

  時習館22100004−9 (八回コールド)
  桜  丘00000100−1

 打線も好調だったこの大会、あと1点、あとヒット1本が出なくて負けちゃうことが何度もあった去年の秋の大会の悔しさをバネにみんなすごく成長してた。ホームランもいっぱい出たけど、少ないチャンスを確実に生かし、9人全員でつないで得点する、そんな印象をすごく受けた大会だった。この調子で県大会もたくさんいい試合ができるといいな…。

  県下大会

  平成11年4月10日(土)〜11日(日)

 大会初日、時習館は一宮球場での第一試合高蔵寺高校との対戦。今にも雨が降り出しそうな天気…。朝6時すぎの電車に乗って球場に向かったのはいいものの、心配した通り途中で雨が降ってきて試合は明日に延期。せっかくここまで来たのに…。明日は晴れて、試合ができますように…。
 大会2日目。天気は晴れ。事情があって試合に行けなかった私に代わって、今回は朝倉久美子と祐子が結果報告。『大きな球場なのにホームランが2本出たり、とにかくみんな絶好調。13ー4で時習館が勝って1回戦突破!』試合は見られなくて残念だったけど、勝ててよかった。試合会場となった津島球場の補助員さんが、「いつも報知高校野球の記事を読んでます」と声をかけてくれたと聞きました。その場にいなかったのが残念だけど、すごく嬉しかった。応援してくれてありがとうございます。

  時習館0004342−13
  高蔵寺0013000−4
   (七回コールドゲーム)

  平成11年4月17日(土)

 2回戦の相手は明和高校。初回、ヒットやエラーで一気に6点を奪われて、早くも苦しい試合展開に…。でもまだ試合は始まったばかり。落ち着いていつも通りのプレーをすれば絶対逆転できる。そして3回、ノーアウトからの5連打で4点を返し、さらに4回、6回と点を重ねて、やったあ、ついに逆転! 2回からマウンドに上がった牧原君も相手打線をしっかり抑え、8回終わって10ー7。そして3点差で抑えた9回裏、また時習館のエラーで1点返され2アウトながら、なおもランナー1、3塁。みんな、あと1アウト、落ち着いて頑張って。そういう私自身落ち着いて見ていられなかったんだけど、なんとかこのピンチを切り抜けて10ー8で2回戦突破!最後の最後までハラハラさせられる試合だった。試合には勝ったけど、自分たちのエラーがもとで相手の得点になる場面が二度もあったり、反省する部分はいっぱい残る。でもまだ次があるから、気持ちを切り替えて3回戦も絶対勝とう!

  時習館104102020−10
  明  和600000101−8

  平成11年4月29日(木)

 いよいよ3回戦。ベスト8進出をかけた大事な試合。相手は強豪春日丘高校。試合が始まった直後の初球、一番の権田敦英君がレフトへ大きなホームラン。あっという間に1点先制。その裏すぐに3点を返されたけど、3回に再び逆転。その後も取られたは取り返す、そんな試合が続く。1点差で迎えた5回には4番まっち(加藤真彦)君の2ランホームランでまた逆転。そして4点差で迎えた8回。「絶対勝つぞ!」「打ってけ!打ってけ!」ベンチからの声もすごい気迫。相手のエラーや四死球、尾藤君のヒットなどで2点返し、2アウトながら、いまだランナー満塁。逆転の絶好のチャンス。(お願い、絶対打って!)バッターは3番中田雄太君。渾身の一振りで、サードへの内野安打。ランナーが一人返って、あと1点差。打った中田君もファーストでガッツポーズ。結局この回は3点しか入らなかったんだけど、最後センターフライでたおれちゃった4番まっち(加藤真彦)君の悔しそうな表情が胸に焼きついて、その悔しさがすごく伝わってきた。そして9回、攻撃に入る前、ベンチの前に集まってみんなが円陣を組んでいた時、試合を見ていた5、6人の小さな子供たちが、スタンドのちょうどベンチの上に来て、「お兄ちゃんたち頑張って!」と声をかけてくれた。それを見て、思わず胸がジーンときちゃった。試合は9ー10で1点差のままゲームセット。悔しいけど、すごくいい試合だった。みんなの〃勝ちたい〃っていう気持ちが今まで一番強く伝わってきた。この大会を通してチームもみんなも、すごく強くなったように感じられる。

  時習館103020030−9
  春日丘30020320X−10

  平成11年5月29日(土)

 夏の大会前の最後の公式戦、全三河大会。なんと今回は第100回の記念大会。偶然にも時習館野球部も創部100周年。これは優勝するしかないでしょう! こんな特別な大会に参加できるんだから、この大会、絶対優勝して夏の大会へ手ごたえをつかみたい。そう、甲子園に向けて…。
 1回戦の相手は刈谷。時習館は3回、四球で出たランナーを権田君のヒットで還して1点先制。8回にも1点を追加して2ー0で迎えた9回裏、相手の2連打で1点を返されたものの、そのあとを、しっかり抑えてゲームセット。1回戦突破!

  時習館001000010−2  中田ー鮫島
  刈 谷 000000001−1  松尾ー鈴木

  平成11年6月6日(日)

 2回戦は杜若。昨年の大会でも対戦して負けたチーム。聞くところによると、ここ数年、時習館は杜若に勝ったことがないらしい…。そんなジンクスを打ち破るためにも、昨年の借りを返すためにも絶対勝ちたい! 松坂くんのいう、〃リベンジ〃ってやつ!
 試合は、3回に1点、さらに8回にも1点を入れられ2点差で迎えた9回、4番・中田君がレフト方向へホームラン! その後もこば君、まっち君の連続ヒットで最後まで粘ったんだけど、結局2ー1のまま負けちゃった。 試合終了後、ピッチャーの中田君が試合中に肉離れをしていたということを初めて聞いた。2回の攻撃中、3塁ベースをオーバーランした時に…。それでも1試合を完投し、9回にはホームランを打って…。ケガをしているように見えなかった。「走るとき以外、痛みは感じなかった」っていってたけど、でも絶対痛いはず。試合に対するその気持ちっていうか、その気合は、本当にすごいなって思う。ケガは全治3週間。夏の大会まであと少し。時間はほとんどないけど、大会の始まる前までに、それまでには絶対治ってほしい…。

  時習館000000001−1 中田雄ー鮫島
  杜 若 00100010X−2 坂ー長島
    本塁打 中田雄(時)

  最後の大会

  平成11年7月11日(日)

 いよいよ最後の大会(第81回夏の大会 平成11年・1999年)が始まっちゃった。試合当日だっていうのになんでだろう、あんまり緊張しない。初戦の相手は安城農林。天気もいまいちさえない中、試合開始。応援に夢中で試合の内容はあんまり覚えてないんだけど、とにかく5ー1で初戦突破! 肉離れの完治が心配だったピッチャー中田君も、被安打3、三振8個を奪う好投。この調子で2回戦も勝とう! 今日の試合、先輩マネさん5人や去年のキャプテン林泰盛さんたちOBの人もたくさん来てくれてほんと心強かった。ありがとう。

  時習館  101120000−5
  安城農林000000010−1

  平成11年7月20日(火)

 2回戦、時習館は岡崎球場で一宮商業と対戦。雨が降ったりやんだりする中、予定より2時間遅れて試合開始。時習館は初回、クリーンアップの中田君、権田君、まっち君の連続ヒットで3点先制。3回にも7点を追加して、迎えた5回。「代打、鈴木君」アナウンスの声が聞こえた瞬間、スタンドは大フィバー! 公式戦初打席となる将司君の打球は、セカンドの頭上を越えてライト前ヒット。今までの努力を思いっきりぶつけたって感じで、鈴木将司君すごいかっこよかった。その後2アウトを取られたから、次は代打、後藤陽一君。後藤君の打球は2塁ランナー将司君を返すタイムリーになって、1点追加。試合は11ー0の5回コールドで時習館の大勝。今日の試合、勝ったことはもちろん嬉しかったけど、それ以上に将司君と後藤君のヒットにすっごい感動した。ほんとに嬉しかった…。

  時習館30701−11
  一宮商00000−0
   (五回コールド)

  平成11年7月22日(木)

 今日はいよいよ豊田西戦。空も眩しすぎるくらいに晴れて絶好の試合日和。1回戦2回戦のように簡単に勝てるような相手じゃないけど、でも絶対大丈夫。みんななら絶対勝てる!
 試合は2回、5番・ピッチャー中田君のレフト越えホームランで時習館が先制。そして4回、2アウト満塁から豊田西・玉置に走者一掃のタイムリーを打たれて3ー1。時習館は2点を追う側に…。絶対負けたくない、絶対負けない、そんな思いで迎えた6回。1アウトランナー2塁バッターまっち君。ライトへ抜けた打球は1点を返すタイムリーになって3ー2の1点差。相手のパスボールでさらに1点を返してついに同点! その後、両チーム点が入らず同点のまま迎えた9回。時習館は先頭打者にヒツトを許し、ノーアウト2塁のピンチ。その後バントで1アウト3塁とされて最大のピンチ。(1点入っちゃう…、お願いみんな頑張って!)胸にあるお守りを強く握った次の瞬間、サードゴロで飛び出して3アウト、チエンジ! みんなすごい…。かっこよすぎ…。いつも自分のこと〃演技派ピッチャー〃って言ってる中田君もほんとに最高のガッツポーズ! 笑顔でベンチに帰ってくるみんなを見て、嬉しくて嬉しくて、思わず泣いちゃった。「試合はまだ終わってないよ。まだ泣いちゃだめ」2年生のりさがそう言ってくれた…。そうだよ、まだ終わっていない。みんな頑張れ、絶対勝とう! 最終回、四球で出たこば君を2塁において、1番本田君は敬遠。1アウト1、2塁として、続く下田君の打球はライトヘ…。その間にこば君が返って3ー4のサヨナラ勝ち!
スタンドもほんとに大興奮。嬉しくて感動でみんな泣いていた。サヨナラヒットを打った下田君はもちろん、ホームランを打った中田君、同点につながるヒットを打ったまっち君、他のみんなもすっごいかっこよかった。今日の試合、全員で勝ち取った1勝。みんな最高だよ!
夏の試合にはドラマがあるっていうけど、今までで一番、ほんとに感動した。

  豊田西000300000 −3
  時習館010002001x−4
      本塁打 中田雄太

  平成11年7月24日(土)

 球場までの移動は今までの電車からバスになった。千賀君の作ったイメージトレーニングビデオを見たり、バスの中ではみんなリラックス。鶴も今日ついに5480羽完成。
 地元校同士の対決となった4回戦。半田球場での豊橋南との対戦。豊橋南は、練習試合でも何度でも対戦したことのあるチーム。負けたことは一度もなかった。絶対勝てる、そう思っていた。
 試合は3回、豊橋南の3番・上野にライトへの2ランをあび先制される。続く4回、時習館も4番・まっち君のホームランで2点を返して同点。5回にも1点を追加し3ー2と1点リードで迎えた6回、守備の乱れで3点を奪われ逆転される。さらに7回にも2点を追加されて4点差。
 最終回の時習館の攻撃。(4点差なんて全然平気、みんならやってくれる。絶対勝つ。絶対逆転できる)みんなを信じて、最後まで応援しよう、そう思っても涙が出てきて…。バッターは4回に同点2ランを打ったまっち君。意地の一打でライトへのヒット。続く鮫君はフォアボール。ノーアウト1、2塁、チャンスが広がった。次はキャプテンのこば(小林佳照)君。打席に立ったこば君がお守りに手をあてた。打ったボールはショートへころがりダブルプレイ。2アウトランナー3塁。(お願い…まだ大丈夫…)バッター尾藤君、打球はセカンドからファーストヘ…へ。

  時習館000210000−3
  豊橋南00200320x −7
  本塁打 上野(豊) 加藤真(時)

 みんなすっごい頑張ってた。ほんと、最後まで頑張ってた。そんなみんな、すっごいかっこよかったよ…。 試合後、声をあげて泣いている選手、涙をこらえている選手、そんなみんなを見ていたら胸がつまった…。終わってほしくない。ずっとずっと続いてほしかった。3年間、部活部活の毎日だった。野球部に入った時のこと、合宿、遠征、練習試合、大会、そして毎日の練習。いろんなことあった。ずっと一緒にマネをやってきた久美子。いろんなことあったけど、いつも頼れる存在で…、久美子と一緒に続けられてほんとによかった。ありがとね。3年間、ずっと甲子園への夢をみさせ続けてくれたみんな。みんなの力になるどころか、失敗ばっかり、頼りがいのないどうしょうもないマネでごめんね。最後の大会、ピンチの時や打席に入る前、マネが作ったお守りを胸に手を当てて握ってくれた…。学校にいる時も、練習の時も、ずっとお守りつけてくれてた…。すごい嬉しかった。みんなにはいろんなこと教えてもらった。一生懸命頑張ることがどんなにかっこいいことか、感動も夢も、他にもたくさん…。3年間、本当、すごい楽しかった。ありがとう。短い間だったけど、一緒に頑張ってきた1・2年生のみんな、私たちがかなえられなかった甲子園の夢、絶対かなえてね。途中でマネやめちゃったけど最後まで野球部を応援してくれたゆうちゃん、優美ちゃん、みっちゃん。そして先輩。熱い指導をしてくださった1年生の時の監督、近藤先生。そして現監督の藤城先生。部長の菰田先生。いつも支えてくれた父母の会の方。貴重な経験をさせてくださった報知高校野球の山崎さん、この記事を最後まで読んでくださったみなさん。みんなの支えがあったからこそ私は最後までマネを続けてこれたんだと思います。感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。



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