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                          昭和27年度(1952年)

 
選抜から帰ったチームは、東三リーグほか、地元チームとの対戦に意外に接戦を演じた。

春季東三リーグ(二次)戦
 四月十二日〜豊橋球場
                         時習館 1ー0 成章
                         時習館 4ー1 新城
                         時習館 2ー2 豊川

招待野球 豊橋球場
               五月五日    時習館  2Aー1 慶応
                 〃      時習館 21Aー3 長野北
               六月七日    時習館  2Aー1 浜松商

全三河大会 豊橋球場
                         東ー時習館、豊橋東、成章、豊川
                         西 岡崎、挙母、岡崎工、刈谷

 一回戦 六月二十二日         時習館101000002−4  内藤ー加藤
                        岡崎工002000000−2  香村ー牧野

 準決勝戦 六月二十九日        時習館202000000−4   内藤ー加藤
                         成 章 000000000−0  河合、鶴見ー山本和

                        岡崎 9ー0 豊橋東

 優勝戦  同日              岡  崎201010022−8  酒井ー柴田
                        時習館000000000−0  内藤ー加藤

招待野球 七月五日・六日 豊橋球場
                        時習館 3Aー2 静岡城内
                        掛川   1Aー0 時習館




   ■第34回選手権大会愛知県大会(昭和27年・1952年) “準優勝”


                       
春夏連続出場ならず


時習館は、怒濤の如く予選を勝ち進んで、愛知高との優勝戦に臨んだが、一点に泣き、春夏連続の甲子園出場はならなかった。

一回戦 七月二十一日 鳴海球場

  時習館40124−11   内藤ー加藤
  大  府10000−1    間瀬ー久野
  (五回コールドゲーム)

 時習順調に勝ち進む
(朝日)新鋭大府は優勝候補時習館に堂々の戦いを挑んだが実力の差は如何ともしがたく、時習館の猛打の前に玉砕した。
 時習館は立上りからノビノビとゲームを進め、固くなった大府の間瀬投手をよく攻め、選球、好球をのがさずたたいて危げなく勝をにぎった。
 時習館内藤は配球よく、低目をつく速球を好投、バットを短くにぎってつめよる大府の打陣をよせつけなかった。

二回戦 七月二十四日 豊橋球場

  時習館001100001−3   内藤ー加藤
  碧  南000000000−0   小塚ー樅山

 時習館、碧南を完封
(朝日)時習館内藤投手の剛球は完璧の守備と相まち碧南を完封、時に許した走者にも見事な併殺プレーをみせた。
 碧南は上位打者が不振で、また折角の好打も野手の正面をついて、三塁をふむ者一人もなく時習館の実力の前に屈伏した。

三回戦 七月二十六日 鳴海球場

  東  海0000000 −0   早川寛ー早川和
  時習館0000205A−7   内藤ー加藤
   (七回コールドゲーム)

(朝日)時習館は五回大岩の単打でつかんだ二死二、三塁のチャンスに鈴木が左中間を破る走者一掃の殊勲打を放って先行点を挙げた。 これに気をよくした時習館はなおも攻撃の手をゆるめず、七回には東海内野陣をかきまわして大量点を挙げ、一挙に勝負を決めた。

準々決勝戦 七月二十八日 鳴海球場

  時習館103000200−6
  岡  崎030000010−4

(朝日)時習館は二回県岡崎にたたかれてリードされたが屈せず、芳村の二ゴロ失をきっかけに三安打を重ねてすぐ追いつ抜き、ここで先発内藤を左腕大山と交代、県岡崎の打棒かわし、五回再び内藤を送って目先をカク乱、ダメ押しの二点を加え県岡崎を突き放した。
 県岡崎酒井はよく頑張ったが、ピンチに固くなった守備陣の手痛い連失で失点したのは、八回柴田の長打で肉薄しただけに惜しかった。

準決勝戦 七月二十九日 鳴海球場

  豊  川000000000−0
  時習館21000000A−3

 時習館、優勝戦へ
(朝日)捨て身でぶつかる時習館に対して豊川は攻守に精彩なく、二回二死満塁と迫りながら無気力から逸し、特に大黒柱伊奈投手は立上り制球に苦しみ、全く乱調だった。試合巧者な時習館はこれを見逃さず、徹底した選球戦術で二死満塁、このとき時習館竹内の遊ゴロを豊川本田が捕って転送、危機は脱したと思われたが、大谷が落球して二点先行され、三回にも守備陣の手痛いエラーで加点された。
 時習館は豊川の苦手な左腕大山を先発させたが不調とみるや三回すぐ内藤を送って、豊川の打棒をかわし、内藤はさしてスピードはなかったがコントロールよく巧みな配球であせり気味の豊川打陣を完全に抑え、無失という固いバックスに守られて勝利を飾った。

優勝戦 八月一日 鳴海球場

(朝日新聞)「技の時習館、力の愛知」の対戦、時習館内藤治夫投手はドロップとカーブを得意とし、球質の異なる左腕大山敏晴、愛知岡部はシュートとスローカーブを打みに投じて打者のタイミングをはずすコツに妙を得ており、両投手とも試合ごとに自信をつけているだけに両チームの実力は全く、問題はは両チームの打力で、時習館が岡部に眩惑されずに、持味のネバリと闘志でどこまで食い下がるか、愛知が内藤、大山をどこまで打ちこなすか、興味豊かな試合である。

  愛  知001010000−2
  時習館100000000−1

九回 鈴木不運の一打
(朝日新聞)全く互角の実力を持つ力の愛知、技の時習館の激突は、最後まで予断を許さぬ優勝戦にふさわしい熱戦だった。立ち上がり愛知が無死で吉田が四球を選びながら、時習館加藤の牽制球に刺されたに反し、時習館は固くなった愛知岡部技手の肩の決まらぬのに乗じ、大岩張二が選んだのをきっかけに一安打一死球で早くも一死満塁と迫り、続く原田始のバント失敗による一飛を併殺をあせった吉田一塁手が三塁へ悪投する間に大岩張二が還って先取点をあげた。

 ネバル愛知は前半低目の速球とカーブを巧みに投じ力投する時習館内藤治夫に手を焼きながらもジリジリ迫り、三回やはり上り気味の内藤から加藤の安打をはさんで二つ四球で迎えた一死満塁の好機に伊藤の左飛で三塁走者吉田がホームイン、さらに五回一走者をおいて畦地が右翼線を破る二塁打を放ってリードを奪った。

 結局これが貴重な勝利点となったが、時習館としては後半立直った岡部の軟投に苦しみつつもよく食い下がったが三、四、五回のチャンスも愛知の好守にはばまれ、最終回四球の芳村徳夫をおいて鈴木孝康の放った一撃は痛烈なライナーとなってレフトを襲い、あわやと思わせたが、市原左翼手の美技に万事休した。ともかく敗けたりといえども最後まで闘い抜いた時習館の善闘は称される。

時習館 . 愛知
守備 選手名 卒業年次 打数 安打 失策 守備 選手名 打数 安打 失策
6 芳村徳夫 時5 3 0 0 3 吉田 1 0 1
4 大岩張二 時5 3 0 0 6 加藤 4 1 1
9・1・9 渡辺修(主将) 時5 4 2 0 9 畦地 3 1 0
8 鈴木孝康 時5 3 0 0 8 伊藤 3 0 0
3 原田 始 時5 3 0 0 2 木下 4 0 0
1・9・1 内藤治夫 時5 4 0 0 5 大橋 4 0 0
7 竹内和男 時6 3 0 0 1 岡部 4 1 0
2 加藤主税 時5 2 0 0 7 市原 4 1 0
5 岡田 互 時6 3 1 0 4 山中 3 0 1
28 1 0 30 4 3
犠打 3・盗塁 1・三振 5・四球 9・併殺 0 犠打 0・盗塁 0・三振 5・四球 5・併殺 0

愛知高へ栄えの優勝旗 敗れて悔いなし時習館

(朝日新聞)高校野球愛知大会第十二日の一日は絶好の野球日和に恵まれて、鳴海球場に愛知高−時習館の優勝戦を午後一時五分から挙行、最後まで息づまる熱戦となって、スタンドをわかせたが、愛知高は必死に食い下がる豊橋時習館を2−1で振切り初の優勝を遂げ、栄えの愛知代表として甲子園に出場することになった。

 試合終了後、長縄朝日新聞中部支社企画課長から愛知高伊藤主将に優勝旗ならびに両チームに賞品を授与、芝村県高校野球連盟会長の激励と閉会のあいさつがあって喜びの愛知高ナインが優勝旗を先頭にダイヤモンドを一周、愛知大会の幕を閉じた。

愛知高伊藤主将談

 一戦主義で試合に臨み、優勝などはねらわず、はずかしくないゲームをと念願、戦を進めて来たのが実を結んだのでしょう。中京、享栄、時習館と全く手強ごわい相手ばかりで苦しかった。愛知は他府県に比べてレベルが低いとのこと。こんどはその声のためにも、明日から猛練習して甲子園できっとガン張って来ます。とにかく長年の夢がやっと実現したいま喜びで胸が一パイで、何をいってよいのか分かりません。

時習館渡辺修主将談

 連日の試合でナインが疲労気味だった。正直なところ攻守ともに愛知は一日の長があり、立派なチームだ。敗れたいまは捨て身で奮闘し続け、優勝戦までこぎつけたことで満足です。この上は愛知高の甲子園における善闘を祈る心で一パイです。

 第34回選手権に出場した愛知高は三池(福岡)に 2:1 で勝利、函館西(北海道)に 7:3 で敗退。
 優勝は八尾(大阪)を 4:1 で破った芦屋(兵庫)。



2年連続 選抜に有力候補、秋も大活躍

 八人ものメンバーを送り出したが、新チームは秋季東三リーグ優勝し、全三河では一回戦で岡崎工に敗れてしまったが、県下大会では決勝リーグに進出、東邦、成章に勝ったが、中京商に敗れた。
 中部地区大会に臨んだ時習館は、清水東、不敗を誇った中京商を破ったが、優勝戦で浜松北に負けた。
 この活躍が、愛知県高校野球連盟理事会で、中京商と時習館は全く伯仲、順位がつけられず、両校を第一位として推す、異色推薦となった。

秋季東三リーグ戦 八月二十日〜 豊橋球場

                            時習館  12ー2 新城
                            豊川     6ー5 時習館
                            時習館   7ー0 国府
                            時習館 12Aー5 豊商
                            時習館   5ー4 田口
                            時習館   9ー4 豊橋工
                            時習館  25ー0 蒲郡
                            時習館  11ー4 鳳来寺
                     優勝戦   時習館   5ー2 成章

全三河大会 九月二十一日 岡崎高校校庭

 一回戦                        時習館000000000−0  大山ー菅沼
                             岡崎工01001000A−2  香村ー鋤柄

県下大会 鳴海球場
 一回戦 十月五日                岡崎北000120000 −3
                             時習館002000002A−4

 二回戦 十月十八日               時習館000001020−3
                             一宮商001000000−1
 決勝リーグ
       十月二十五日             中京商000000200−2
                             時習館000000000−0

       十月二十六日             東邦商0130002 −6(七回コールド)
                             時習館5202211A−13
                              (七回コールド)

       十一月一日               時習館001004300−8
                             成  章100001001−3

中部地区大会 鳴海球場

 一回戦 十一月十五日             清水東000000011−2   伊藤ー橋本・遠藤
                             時習館00100120A−4   大山ー菅沼

                             中京商 3ー0 四日市
                             浜松北 3ー2 多治見
                             岐阜   1ー0 宇治山田商工

 二回戦 十一月十六日             中京商300000000−3   中山ー加藤
                             時習館00021100A−4   大山ー菅沼

                             浜松北 2ー1 岐阜

 優勝戦 十一月十六日             時習館100000000−1
                             浜松北00000500A−5

(時習新聞)本校は劈頭四球の白井勉岡田互のヒットエンドランで三進させ、次いでスクイズで先取点を挙げ試合を有利に進めながら六回に至った。この回大山敏晴投手の疲れと野手の失策によって一挙五点を挙げそのまま押し切られた。本校と浜松北との実力は得点差ほどもなく、むしろ本校の方がはるかに上であることに万人の認めるところであるが、この試合において本校の敗因は何かといえば前試合の強敵中京商と運命を賭けた一戦を行い、それを破った満足感と共にその安堵によって生じた疲労の濃くなったことであろう。
 尚本大会の三試合を通じて中西克哉一塁手と岡田互三塁手の打撃の冴えは断然光っていた。




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